相手のためを考えて使った敬語も、過剰に使うと時には嫌味に聞こえることがあり逆効果となります。敬語は単にたくさん使えばいい、というものではありません。特に気を付けたいのは「二重敬語」と「重言」(ジュウゲン)。せっかく使う敬語ですが、使い過ぎには注意が必要です。本稿では注意したい過剰な敬語について説明します。
目次
気を付けたい「二重敬語」と「重言」(ジュウゲン)
敬語を使う際に、あまりに敬語を使いすぎると、相手が嫌味に聞こえることがあるので、敬語を使う際、正しい使い方であっても注意が必要です。知らず知らずのうちに使いすぎてしまうことのある敬語、「二重敬語」と「重言」(ジュウゲン)に注意しましょう。
「二重敬語」
「二重敬語」とは主に話し言葉で一つの動詞について、同じ種類の敬語を二重に使うこと、を指します。過剰な表現は、かえって印象を悪くすることがあるため、相手によっては嫌味に受け取られる可能性があります。
例
×社長がおっしゃられていました
○社長がおっしゃっていました
×部長がご覧になられました
○部長がご覧になりました
×面会をご希望になられています
○面会を希望されています
×ご注文をお承りしました
○ご注文を承りました
×ご依頼を申し受けさせていただきます
○ご依頼をお受けします
尚、お召し上がりになる、お伺いする、と言ったように慣例として定着して使われている二重敬語も存在しています。
「重言」(ジュウゲン)
同じ意味の言葉を重ねることを言います。話し言葉では聞き流されることも多いのですが、文章にすると、意味の重複が表現をまわりくどく、更に滑稽なものになることが多いです。
例
×新年明けましておめでとうございます
○明けましておめでとうございます
×かねてからの懸念
○懸念
×はっきりと断言する
○断言する
×慎重に熟慮する
○熟慮する
×雪辱を晴らす
○雪辱する、雪辱を果たす
×存亡の危機
○存亡の機
×まず最初に
○最初に
×おからだご自愛ください
○ご自愛ください
×内定が決まる
○内定する
上記のように、重言は日頃何気なく使っている言葉も該当しています。これを機会に、日ごろの言葉も見直してみてはいかがでしょうか?
「お」と「ご」の使い方
言葉に「お」や「ご」を付けると丁寧な言葉となりますが、ルールが存在しています。
訓読み(和語)なら「お」
Ex.お話し、お知らせ、お車等
音読み(漢語)なら「ご」
Ex.ご意見、ご参加、ご報告
ただし、お時間、お電話、お天気等の一部音読みの単語にも「お」がつくことがあるので、注意が必要です。
「お」や「ご」を付けると丁寧な言葉となりますが、電話で応対の際に「お」や「ご」を付けて話をすると、逆に分かりにくくなってしまうこともあります。電話の場合は、丁寧な言葉を心掛けながらも、簡潔に分かりやすく伝える努力も必要となります。
まとめ
敬語は、相手や状況によって使い方が変わりますし、特殊な表現もあるため、知らず知らずのうちに、間違って使っているケースも多く見られます。丁寧な言葉を意識しようとするあまり、二重敬語などの過剰な敬語となり、相手に不快感を与えては元も子もありません。
少し注意をすれば避けられる表現が多いため、これを機会に自ら使っている二重敬語や重言を確認してみてはいかがでしょうか?意外に日頃使っている二重敬語や重言が多いのに気づきますよ。お気を付けください。